徒然理系日記

日々の備忘録と日記

MENU

学部ミスマッチで悩んだ理系院卒による進路選択のすすめ

こんにちは。最近周りで受験生や進路に迷う高校生の話を聞くことが多く、時にアドバイスを求められることもあるので、自分の意見をまとめて残しておこうと思います。今回は大学または専門学校に進学をするところまでは決めていて、具体的な学部や専攻選びで悩んでいる方に向けた内容です。

 

大学を選ぶところで悩んでいる方はこちら↓

hexalog.hatenablog.com

 

 

自己紹介

国公立大学の化学系専攻で大学院を修了した者です。

高校生の時、誰にも相談せず「なんとなく」「親や先生が望むから」「偏差値が高い方、ステータスがある方」といった10代の独断と偏見により進路や受験先・進学先を決めてしまい、今になって「もっと考えればよかった」と思っています。そんな時に見栄を張っていない等身大の意見を聞けたら違ったのかも?と感じるので、自分の声が今悩んでいる高校生や大学生に届けば…とこの記事を執筆中です。

 

この記事を読んでほしい方

  • 進路決定や文理選択を控えた高校生
  • ミスマッチにより進路変更を考えている大学生・専門学生

 

この記事に目を通そうとしていただいている方の中には、「やりたいことも興味のある仕事も思い浮かばない」という方もいれば「なんとなく学びたいことがある」「進路を間違えた気がしているけど何がしたいかもわからない」という方など様々いるかと思います。自分のミスの原因なども交えて記事を作成したので、この記事が悩んでいる方の助けになればと思います。

 

進路決定法①:やりたいことを探す

当たり前と言えば当たり前なのですが、やりたいことを探すのが先決です。もちろん「なんとなく」「親が望むから」という感じで進路を選んでも何とか生きていくことはできます。ただ、自分があまり好きでないことで時間を消耗したり、努力したりすることは思いのほか苦痛なのでそれは避けるべきだと思います。そこで、この項目ではやりたいこと探しに効果的なメソッドを紹介します。

 

やりたいこと探しには、以下の本のワークが非常におすすめです。


 

 

筆者は「意識高い系の戯言か~」と斜に構えた姿勢で読み始めたのですが、よく体系化されていて、やりたいことや興味のあることを見つけやすいです。この本では「仕事にすること」をメインに書かれていますが、それに限らず興味のあることをいくつかリストアップできるので、趣味や副業の観点からも複数の「やりたいこと」のリストアップをおすすめします。

 

本となるとお金もかかってしまうので、まずお試しという方はこの本の筆者によるサイトを見てみてください。無料の記事やYouTubeも更新されているので、基本的な考えが分かると思います。

www.jimpei.net

 

進路決定法➁:興味のある学問を学んだ先にある仕事を調査

方法①でやりたいことが明らかになった人や学びたいことがあるけれどその先の仕事までは考えられていない…という人は、興味のあることを学んだ先にどんな職業に就けるか調査しましょう。ここでの調査とはよく言われる「職種」のことだけではありません。どのような働き方ができるか、どのような資格を入手できるかも考えましょう。具体的には以下のような内容についてざっくりと調べましょう。

 

  • 学んだ先に得られる資格
  • 学んだ先で多くの人が選ぶ進路(業界や職種)
  • 勤め先はどんな場所になるか?(民間企業?個人事業主?公務員?等)
  • 勤め先では転勤があるか?

 

医学部や美容専門学校であれば、取れる資格が分かりやすく、なんとなく進路のイメージもつきやすいかもしれません。そのため、どちらかというと仕事に直結する資格の取れない学部や専門学校の方ほど詳細に調査してもらいたいところです。なんとなく会社員になるのかなあと思う進路を選ぶ人ほど、「どんな会社で」「どんな職種を選べるのか」が重要になってきます。特に理系であれば、専門職になるケースが多いので、慎重に調査しましょう(専門外の職種を選ぶと理由を聞かれますし、少し不利になります)。文系の方は、学んだ内容と仕事があまりつながらないことも多いので、そこまで深刻に考える必要はないかもしれませんが、望んだ働き方を実現するために英語や資格の勉強のような準備をすることができます。

 

また、専攻が専門職に近いほど「学んだ内容を仕事に生かさず、仕事は別のことをする」のは難しい選択となります(専攻が哲学の場合、直接生かせる職業は少ないですが、専攻が看護の場合、看護師以外の選択をしにくいですよね)。「手に職」と言われている分野ほど仕事とのミスマッチに気を付けましょう。

 

自分自身は「転勤はしたくない」「作業着や工場は嫌だ」と思っているのに「親も望んでいるし、実験楽しそう~」となんとなくな理由で化学専攻を選びました。当然企業や大学で研究をするのだろうと漠然と考えていたのですが、実際の就職先は工場・全国転勤になりやすいことを後から知って結局のところ大きく後悔しました(学べたことも多かったのですが)。今の自分であれば、確実に化学を専攻することは決めていなかったと思います。

 

高校生から見たら就職は遠い未来のことかとは思いますが、後悔をしないためにも、仕事のことを念頭において進路を考えてみてください。学びたい学問とその先にある働き方のどちらも納得できるという進路を選びましょう。

 

進路決定の際の注意点

特に自分が引っかかってしまった進路決定のミスが主になっているのですが、進路決定時の注意点を以下に述べます。

 

  1. 親や先生の喜ぶ進路を選ばない
  2. 高校の授業で面白いと感じたことだけを理由に専攻を選ばない
  3. 進路のやり直しが効くかどうかを見極める

 

まず、1.「親や先生の喜ぶ進路を選ばない」というのは、もしもその進路が自分と合っていなかったとき、後悔が大きくなるからです。人主体の決断の後悔と、自分主体の決断の後悔であれば後者の方が圧倒的に小さいダメージで済みます。周りの人の意見は参考程度に考えるべきです。

 

次に、2.「高校の授業で面白いと感じたことだけを理由に専攻を選ばない」というのは、高校の勉強というのは、専門的な内容を分かりやすいようにカリキュラムされたものであり、大学との学びとはずれがあることが多いからです。「大学では化学は物理に、物理は数学になる」というのはよく耳にしますが、それくらい高校での学びと大学での専門教育には差があります。自分は「高校でのパズルのような有機化学が面白い」と感じていましたが、実際の有機化学は好きではありませんでした。好きなのは有機化学ではなく、パズルだったのです…。

 

ここまでの項目はよくある進路指導の内容とも一致するかもしれませんが、最後の3.「進路のやり直しが効くかどうかを見極める」というのはなかなか聞かない内容かと思います(少なくとも自分の時代には言われませんでした)。近年、「リカレント教育」や「生涯学習」という言葉が話題になっていますが、社会人になってからも学びなおしができる機会が増えました。しかし、どうしても学びなおししやすい分野としにくい分野があります。よく耳にする経営学修士MBA)などは社会人になってから取る人が多いですし、一部専門学校は社会人向けの講座を開いているかと思いますが、その一方で最低でも6年はかかる医学部や薬学部に入りなおすのは金銭的にも時間的にも難しくなります。「やり直す可能性」や「複数の学問を学びたい場合」を考えると、高校卒業後の選択としては学びなおしが難しい分野を選ぶのが良いと思います。

 

まとめ

学生の時、周りの大人はやたら将来の夢を聞いてきます。しかし、高校生まででやりたいことや夢がはっきりある方がレアなのではないかな、と思います。かといって、「とりあえずの大学進学」「とりあえずの就職」では後悔したり、ミスマッチで苦しんだりすることも多いと思います。学生を終えた今は、「夢」と言えるほど大きな目標がなくても、好きなことや得意なこと、将来の仕事のことを考慮して納得のいく決断を下せるのがベストなのではないかと感じています。この記事を読んでくれた方の決断に少しでも良い影響を与えられていれば幸いです。