徒然理系日記

日々の備忘録と日記

MENU

理系大学院生、研究室でうつ病になりました

タイトルの通りですが、M2の後期ごろ、研究室が原因でうつ病になりました。自分自身、うつ症状を自覚し始めたころ、似たような境遇の方のブログを見て共感し、「自分が特別弱いわけではないのかもしれない」と思えたので、研究室で悩んでいる人の助けになれるよう、うつ病になった経緯と症状など、まとめていきたいと思います。既にうつ病適応障害と言われている方や、なんとなく不調を感じている方の助けになれば幸いです。

 

 

はじめに

まず何よりも伝えたいのが、「原因もなく体調がすぐれない日が続く」「好きなことも楽しめない」「大学に行くのがつらい」といったような症状が続いている人は、自分を責めずに休んでください。「自分が弱いだけ」「みんなは大丈夫なのに自分だけ」と思わずにはいられないかもしれませんが、素直に自分のつらい思いを認めてあげてほしいです。この記事の中の私の体験を読んで「こんなことでうつ病に!?」と思う方もいるかもしれませんし、「同じくらいつらい」と思う方もいるかもしれません。しかし、どんな方にとっても「つらいと思って良いんだ」ととらえるきっかけになれば嬉しいです。

 

自分自身が不調を感じている方はもちろんですが、親しい人や大切な人が無理をしているように見える、様子がおかしいように見えるという方にも参考になれば幸いです。

 

うつ病になった原因

端的に言えば、原因は「指導教員との相性」「自分自身の研究領域に対する適性」の二つなのですが、それぞれ羅列してみるとこんな感じ。

 

指導教員

  • 機嫌の振れ幅が大きく、機嫌が良いときは好人物、悪いときは理不尽
  • とても細かい性格で、マイルールやこだわりを学生に守らせる
  • その割に説明が少ないため、学生が教員の細かなルールに気づかないと、怒ったり、同じ実験や測定を何回もさせたりする
  • 一度学生を詰め始めると直接的な表現よりも皮肉や嫌味で攻撃
  • 忙しいと自分の過去の発言を忘れ、矛盾した指示やルール設定をする
  • 学生に自由に研究させるというより、逐一指示するタイプで急な方向転換が多い
  • 夜の22時以降に指導や議論を始め、学生が帰れない状態を作る

 

自分

  • 親の期待に応えるために選んだ専攻だったので、元々専攻の学問に興味を持てていなかった
  • 手先を使うことが多い実験系であったが、手先が異様に不器用
  • 曖昧な指示や説明が苦手
  • がやがやした空間や声の大きな人が苦手(自分のしている会話が聞き取りにくくなってしまう)
  • 物事を理解するまでに時間がかかることが多い(特に、具体的な自然現象と教科書に載っている法則や公式がリンクするのが遅い)

 

これだけ読むと筆者である私の無能感がすごいのですが、集中力や分析力といった長所を生かせず短所が際立ってしまう環境だったことが大きいと思います。(集中しようにも教員がすぐに声をかけてきて、作業が中断され急な方針変更を余儀なくされることや、分からないところは曖昧にする学問領域全体としてのカルチャーから分析力を生かせずにいたことなど)

 

そして、指導教員の無茶ぶりに関しては、指導教員が前に在籍していた大学でも噂になるほどであったうえ、自分以外の学生もストレスを感じている人が多い状態でしたが、客観的に見ても、最もあたりがきつかったのが私だったようです。これは短所が際立っていることに加え、平気なフリをして笑顔でごまかしてしまっていたのも理由になっているように思います。また、指導教員にはわたしの苦手なことが努力不足、勉強不足に見えてしまっていたように思います。もちろん努力はしていたつもりでしたが、それも教員の期待の水準には満たなかったということだったと解釈しています。

 

うつ病の症状について

始めに自覚したのは、気分の落ち込みというよりも身体症状でした。以下、出た症状を順番に挙げていきます。

 

  • 度重なる胃炎や下痢といった胃腸の不調
  • 寝つきの悪さ、中途覚醒
  • 微熱と寒気
  • 蕁麻疹
  • 頭痛(特に立ち上がる時にひどい痛みを感じるようになっていました)
  • ひどい立ち眩み
  • 視力が不安定になった(見えるときと見えないときがある)
  • 目の前がチカチカする
  • 生理不順

 

私は自分の感情に鈍感でアホなので、途中まではただの体調不良だと思い込み、胃腸薬を飲んだり、食べ物や肌に触れるものに気を使ったり、睡眠改善の謎のサプリを買って飲んだりしていましたが、ある時ふと「このままいなくなってしまいたい」と感じて涙が止まらなくなったことから自分の異変に気付きました(この時勢いで国の自殺の相談電話サービスのようなものに電話を掛けたのですが、噂通り繋がりませんでした…)。

 

その後も2か月ほど研究室には通っていたのですが、過呼吸を起こしてしまったり、集中力や思考力が低下し、異様にケアレスミスが増えたりといったことが続き、大学の保健センターを経て精神科を受診し、うつ病の診断をもらいました。

 

その後、発達障害である「ASD」の診断をもらい、研究室で悩んでいた自分の短所たちはASD由来であったこと、その二次障害としてうつ病を発症したということも分かりました。

 

うつ病の治療

「なんだかおかしいかも?」という状態が続いたら、まずは心療内科や精神科を受診してみてください。大学に所属していれば、私のように大学の保健センターから受診してみるのもアリだと思います。治療のためというのが一番ですが、医師からの診断があれば、指導教員や教授も強くは出られないので、自分の身を守る手段としてもしっかり病院に行くことをおすすめします。

 

うつ病には決まった治療法があるというよりも、人によって合う治療法を試すのが良いようです。一口に薬物療法といっても種類が多いうえ、心理療法や(少しイレギュラーですが)電気治療もあります。ただ、どんな治療を選択するとしても一番大切なのが、「ストレスを与える環境から離れ、ゆっくり休むこと」です。休むことに罪悪感を感じてしまい、何かをしなければという気持ちになってしまうことも多いと思いますが、まずは休養が第一なので、休むことが仕事と思い、ゆっくり過ごすのが一番です。

 

最後に

理系の研究室は特殊な環境であることは間違いないと思います。金銭的な不安感、閉鎖的な環境、自由時間の少なさと、精神的にはあまり良くない要素がそろっています。自信がなくなってしまうとなかなかそうは思えないかもしれませんが、病んでしまう人が弱いわけではなく、環境が過酷であることは間違いありません。冒頭でも述べましたが、「ほかの学生は耐えているのに自分だけ」「自分の心が弱いのかも」と思ってしまっても、苦しい・つらいと感じている気持ちは嘘ではないはずなので、自分自身の気持ちを認めてあげましょう。

 

うつ病は「完治」ではなく、「寛解」にしかなれない病気で、一度心が完全に折れてしまうと、ある程度元気になったように見えても元の状態に戻ることはかなり困難です。だからこそ、「このままだとおかしくなってしまう」という段階でしっかり休み、本格的に病んでしまう前に回復できるのがベストだと思います。

 

今苦しい思いを抱えている方のお力になれていたら幸いです。